中古のジェットスキーや水上バイクを選ぶ際は、何を基準に判断すべきか迷う人も多いと思います。最適な状態で入手して長く乗るためにも、中古艇の購入時にはチェックすべきポイントがいくつかあります。そこで今回は、中古艇を購入する際に抑えておくべき基礎知識や選び方のポイントについて解説します。購入してから後悔しないためにもしっかりと確認しておきましょう。
中古艇選びで最も重要なのは「どこで(誰から)買うか」

まず中古艇を購入したいと思ったときには、どこで(誰から)購入するのかを決めます。じつは、これが中古艇選びにおいて最も重要です。
中古艇は下取りされる際でも、エンジンをバラして中身をチェックするなんてことはありません。メンテナンスの状態などで判断することはできますが、エンジン内部の状態までは確認することができないのです。つまり、何が起きるかわかりません。買ったあとに故障やトラブルが起きる可能性も当然あります。どんな優良店で購入してもこのリスクは避けられません。だからこそもし購入後すぐに故障してしまったとしても粗悪品を売られたと後悔することがないように、自身が信頼できる販売店(人)から購入することが大切です。
中古艇の購入パターンとして、主に考えられるのは以下の4つです。
メーカーの正規代理店ほか
正規代理店をはじめとする製造メーカーと契約のある販売事業者。新艇や中古艇の販売、買取査定、メンテナンスなど総合的なサービスを行っている販売店が多い。メーカーと直接やり取りしているため品揃えが豊富で安心感も高いのが特徴。
それ以外の保管販売事業者(マリーナ等)
販売のほか保管やメンテナンスを行う民間のマリーナなど、製造メーカーと契約のない販売店もあります。中古艇を常時展示している施設もあるので、実物を見て決めたいという人におすすめ。また、購入後も保管やメンテナンスを依頼できるという意味で安心です。
委託仲介専門業者
オーナーからの依頼で売買を仲介する業者。名義変更などの手続きを行っています。あくまで仲介をしてくれる業者なので、購入後に中古艇に問題があった場合は前オーナーに対して交渉する必要があります。
個人間の売買
知人同士の売買やオークションなどを利用した個人間の取引き。 業者による中間マージンが発生しないため、低価格で購入できる可能性もあります。ただ、船の状態の見極めや名義変更の問題など、ある程度の知識が必要となるためリスクも伴います。
このようにそれぞれメリットやデメリットはありますが、やはり個人間の売買よりは専門の委託販売店で購入する方が安心感は高く、仲介事業者よりは正規代理店で購入する方が不安は少ないでしょう。いずれの場合も、艇の整備状況や程度について必ず確認してから購入してください。中古艇はノークレームノーリターンが原則です。新艇を購入する時とは違ってメーカーの保証が付いているわけでもないので、信頼できる場所(人)から購入することが非常に重要なのです。
店選びの決め手となる認定マークも!


信頼性の高い販売店を選ぶ一つの指標として、「マリンASS認定店(ASS)」「日本中古艇協会(JUBA)」といった認定システムもあります。マリンASS認定店(AuthorizedSeaviceShop)とは、ヤマハが定めた技術や設備基準を満たした業界随一のメーカー認定サービスショップのこと。このマークを提示しているショップは、技術・設備工具・CSの資格基準を満たしたお店であるという証明になります。
日本中古艇協会(JUBA)とは、全国130社以上の中古艇関連事業者が加盟する特定非営利活動法人(NPO)。中古艇に関する評価や整備、点検などの基準策定や中古艇評士の育成などを行っている団体です。ユーザーの安全確保と信頼性向上を目指して活動する同協会の加盟店であるかどうかも、信頼できる販売店を見分ける一つのヒントになりそうです。
中古艇購入時に見るべきポイント
中古艇を購入するときは、必ず現物を自分の目で見て確認しましょう。その際にチェックすべきポイントは、以下の6つです。
・船の素性
・外装
・エンジンルーム
・メーター類
・ハル(船底)
・ハンドルなどの可動部
船の素性

まず一番に確認すべきは、「誰が」「どこで」「どんな風に」乗っていた船なのか、「どのような改造やメンテナンス」が行われた船なのかという「船の素性」です。優良な販売店であれば、船の過去の使用状況については詳しく把握しているはずです。定期的なメンテナンスが行われていたかどうか、過去に大きな修理が行われていないか、カスタマイズや部品の交換があったかなどメンテナンスの履歴は必ず確認しましょう。
前のオーナーが海水で使用していたのか、淡水で使用していたのかも中古艇の状態を判断するうえで重要なポイントです。海水で使っていた場合は淡水で使用していた場合に比べて、各部が傷みやすいため劣化や塩害のリスクが高くなります。とくにインペラーやポンプまわりなど海水に直接触れる部分はどれだけ洗っても多少は塩が残るので、海で乗られていたジェットの場合はどれくらい塩が付いているかも確認しておきましょう。
外装


ボディに大きな傷や汚れが無いかも確認しましょう。大きな傷や錆びなどがある場合、修復に多額の費用がかかる可能性があります。また、修復の痕跡があるかどうか確認しておきたいポイントです。過去に大きい修理をしている船の場合 、左右のバランスが崩れていて乗りづらくなっている可能性もあるので注意が必要です。
エンジンルーム


エンジンルームがひどく汚れていたり錆びていたりする場合は、メンテナンスが行き届いていなかった証拠です。きちんとメンテナンスされていなかったエンジンには支障がある可能性が高く、購入後に大がかりな修理が必要になる場合もあります。きちんとメンテナンスされていたかどうかを見分ける一つの目安は「プラグが外れるかどうか」。きちんと手入れされている場合、プラグは簡単に外れます。錆びたプラグは簡単に折れるので、少しでも外れないと思ったら無理に外さないようにしてください。
また、エンジン周辺のネジやボルトに動かした形跡がないかどうかも確認します。動かした形跡があった場合は過去にエンジントラブルなど何かしら不調が起きた可能性が高いので、修理歴をしっかりと確認しましょう。
メーター類


本体の電源を入れて、メーターが全て正常に動作するかを確認します。カバーに割れている箇所はないか、パネル内に水が入っていないか、針は正常に動くかなどメーター類の周りは必ずチェックしましょう。エンジンの総使用時間を表す「アワーメーター」も必見です。ジェットは自動車のように「走行距離」を示すものはありませんが、アワーメーターとエンジンのメンテナンス歴を合わせてチェックすることでおおよその使用頻度が把握できます。
ハル(船底)

ハル(船底)は前オーナーがそのジェットをどんな風に扱っていたのかを知るためのバロメーターとも言われています。細かな傷があるのは仕方ないことですが、もしハルが傷だらけであれば浅瀬で走行したりアンカーリングをしないで砂浜に乗り上げたり雑な扱いをしていた証拠です。反対に、傷が細かく修理された形跡がある場合は丁寧に扱われてきた中古艇だと考えられます。万が一、下地のFRPが露出してしまっているような場合には、浸水など命に関わる事故を引き起こす可能性もあるためよく確認してください。
ハンドルまわりやそのほかの可動部

ハンドルなど可動部においては、各部に錆びやガタツキがないか、レバーやスイッチがスムーズに動作するかを実際に動かしてみて確認することが大切です。見た目がきれいでもハンドルが固くなっていてほとんど動かなかったり、インペラーが損傷していて回らないといったこともあり得ます。エンジンをかけてもらったり試乗してみたりして、可動部がスムーズに動作することを確認しましょう。
ここまで中古艇選びのポイントを解説してきましたが、最も大切なのは「信頼できる販売店で購入すること」です。取り扱っている中古艇のことをよく理解していて、販売後も丁寧なフォローをしてくれる販売店を選びましょう。当マリーナではしっかりとメンテナンスされた状態の良い中古艇を販売しています。また保管やメンテナンスなど、購入後のアフターフォローもお任せください! 中古艇をお探しの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を監修したのは…
前沢 貴仁さん
1984年1月11日生まれ。日本ジェットスポーツ連盟(JJSF)所属。ジェット歴は22年で、ジェットスポーツ全日本選手権シリーズなど数々の大会で優秀な成績を収めるプロクラススタンドアッパー。2011年に「JJSF B SKI LTD」の年間シリーズランキング1位、2013年に「JJSF A SKI SLTD」年間シリーズランキング1位を取得した後、2014年に「JJSF PROクラス」に昇格。現在は当マリーナの「AUTO SWAP.F.R」ライダーとして活躍している。
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