ジェット

夏の終わりに! 長期保管するジェット(水上バイク)の点検&メンテナンス項目

夏場にたくさん乗ったジェットをそのまま放置してしまうと、腐食や劣化が進んで故障の原因になります。最悪の場合、次のシーズンに乗れなくなってしまったり修理が必要となったりする可能性もあります。そこで今回は、夏の終わりにしておきたい格納前の点検作業とオフシーズンのメンテナンス方法についてご紹介します。大切なジェットに長く乗るためにも、必ずチェックしてください。

何より大切なのは錆びさせないこと!

夏の終わりに! 長期保管するジェット(水上バイク)の点検&メンテナンス項目 BQマリーナ湘南

ジェットを長期保管する際に最も大切なのが、「徹底的に塩分を取り除く」ことです。ジェットに海水が付着したまま放置すると、必ず錆(サビ)が生じます。乗っていない間にどんどん腐食・劣化してしまうので、ジェットを保管する際は塩分を取り除いてしっかりと防錆対策することが大切です。

夏のシーズン中にジェットに乗り納めたら、専門のプロショップに持って行き、点検・メンテナンスをしっかりと行ってから保管するのが理想的です。とはいえ、すぐにショップに持って行くのは難しい、自分でできることは少しでもやっておきたいという人のために、シーズンオフの格納前にチェックしてもらいたい点検・メンテナンス作業の内容を項目ごとに紹介します。

①湖など淡水の場所で乗り納める

水上バイク メンテナンス イメージ画像 BQマリーナ湘南

ジェットを長持ちさせるために一番大切なのが「塩分を取り除くこと」。真水で洗ってエンジンルームから塩を抜きますが、最も理想的なのは湖など淡水の場所で乗り納めすることです。ポンプケースからの水圧は水道よりも強いので、エンジンルームの中をしっかり掃除することができます。

②ウォーターボックスの水を抜く

水上バイク メンテナンス 画像 BQマリーナ湘南

淡水で乗り納めした後は、各部に入り込んだ水分を取り除いていきます。残った水分がさまざまなパーツを錆びつかせることで劣化や故障を引き起こすため、船体内部の水分はできる限り除去することが大切です

なかでも水分が残りやすい「ウォーターボックス」は必ずチェックしたいポイント。仕切り板やパイプが複雑に組み込まれたボックス内部は水が溜まりやすく、エンジンを空吹かしするだけでは完全に抜けません。放置するとオフシーズン中に結露して、エンジンルームに湿気(水分)が浸入・錆が発生してしまいます。排気パイプを外して細いバキュームチューブで水を吸い上げるなど、内部までしっかりと水分を取り除いておきましょう

③プラグを外してシリンダーの中にオイルを垂らす

水上バイク メンテナンス 画像 BQマリーナ湘南

次に、エンジン真上のシリンダーヘッドに付いているプラグを外して、シリンダーの中にオイルを垂らします。これにより、ピストンリングの固着を防ぎます。リングが錆びてロックされてしまうとピストンが動かなくなったり、動いたとしてもエンジンがかかりづらくなったり故障してしまう可能性もあります。

④バッテリーは取り外して室内で保管する

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バッテリーは取り外し、室内など気温の温度差が少ない場所で保管しておきましょう。カバーをかけた船艇内で保管を続けた場合、冬であっても日中はエンジンルーム内の気温が上がってバッテリーが熱くなります。しかし夜になって気温が下がるとバッテリーも一気に冷たくなり、これを繰り返すことでどんどん劣化してしまいます。また、バッテリーは寒さに弱いので気温が下がると内部の電解液の体積が減少し、正常な電圧を維持できなくなります。そのため長期間ジェットに乗らないときは、船艇から外して室内など常に気温が安定した場所で保管するのがおすすめです。

また、バッテリーは長期間動かさないでいるよりは充電しておく方が長持ちします。バッテリーを取り外したら「オート充電」にして保管しておきましょう。

⑤エンジンルームから水気をなくす

船艇は内部まで雑巾で全てふき取り、水分を残さないようにします。エンジンルームの中は湿気を帯びやすいのでシートは密閉せず、船体との間に隙間を開けて風通しの良い状態で保管しましょう。エンジンルーム内に押し入れ用の除湿剤などを入れておくのもおすすめです

⑥潤滑剤、防錆剤を使って錆を防ぐ

水上バイク メンテナンスが画像 BQマリーナ湘南

最後は各部に潤滑剤や防錆剤をふきかけて、クランプやビス類の錆を防ぎます。エンジンルーム内部はもちろん、ポンプケースの内側やステアリングノズル、リバースゲートのボールジョイント部分、フロントハッチの開閉ダンパー部分などさまざまな場所に対策を施すことで、各所の固着や錆の発生を防ぐことができます。

「定期的に乗る」は一番のメンテナンス

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今回は長期間ジェットに乗らない際の点検&メンテナンス項目と保管方法について紹介しましたが、最も良いのは「定期的に乗ること」です。元も子もないような話ですが、車やバイクと同じようにずっと動かさないでいるとエンジンやバッテリーなどはどうしても劣化してしまうので、やはり定期的に動かすことが一番のメンテナンスになるのです

乗るのが難しいという場合には、2週間に1回など定期的にエンジンをかけて水をかけてあげるだけでもOKです。ついでに鉄の部分だけにCRC(サビ取り剤)をかければ、さらに効果的でしょう。たった数分エンジンを動かすだけでも、全く動かさないのとでは来シーズンのコンディションが大きく変わります。ぜひ可能な限りしっかりとメンテナンスを行い、来シーズンに備えましょう!

この記事を監修したのは…

前沢 貴仁さん
1984年1月11日生まれ。日本ジェットスポーツ連盟(JJSF)所属。ジェット歴は22年で、ジェットスポーツ全日本選手権シリーズなど数々の大会で優秀な成績を収めるプロクラススタンドアッパー。2011年に「JJSF B SKI LTD」の年間シリーズランキング1位、2013年に「JJSF A SKI SLTD」年間シリーズランキング1位を取得した後、2014年に「JJSF PROクラス」に昇格。現在は当マリーナの「AUTO SWAP.F.R」ライダーとして活躍している。

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